
この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
『TASK/タスク』全7話
このドラマのキーワード
- フィラデルフィア郊外
- FBIのタスクフォース
- 怒りと赦し
- 家族
- 内通者

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました
フィラデルフィア郊外の町で、麻薬組織「ダークハーツ」の拠点を狙った家宅侵入事件が多発する。報復と見られる殺人事件も発生し、解決を急ぐ地元FBIのキャスリーン・マクギンティはタスクフォースを立ち上げ、捜査の現場から離れているトム・ブランディスに指揮を任せる。
上司の頼みを断れず、捜査に復帰したトムは複雑な家庭の事情を抱えていた。トムが現場を離れていた理由は、家庭内で起きた悲痛な事件で妻を亡くしたからだった。妹のエミリーと共に養子にした息子イーサンは心に問題を抱え、ある日、母であるトムの妻を殺したのだ。イーサンとの面会すら拒むトムは、兄のために意見陳述しようとしている娘エミリーとも向き合えずにいた。
そんなトムが率いる寄せ集めのタスクフォースが捜査を始める中、新たな事件が起きる。連続家宅侵入犯が押し入った家から4人の遺体が見つかり、その家の幼い少年サムが消えたのだ。
主要人物の背景



トムとロビーはどんな人?


トム・ブランディス(マーク・ラファロ)
FBI捜査官
FBI入局前は司祭をしていた
実子の娘と養子にした息子と娘がいる
養子の息子が妻を殺害した後、捜査の現場から離れた
現在は養子の娘と二人暮らし
バードウォッチングが趣味




ロビー・プレンダーグラスト(トム・ペルフリー)
妻が去って約1年
娘と息子を連れて、姪メイブ(兄の娘)と同居
ゴミ回収車の作業員として働いている
友人のクリフと共に兄を殺したギャングに報復している
評価
IMDb:8.0
ロッテントマト
平均トマトメーター:95%
平均ポップコーンメーター:73%



納得の高評価
演技も素晴らしく
心に訴えてくるものがあり、私も満足!
『TASK/タスク』全話まとめて感想



ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください
『タスク』が描く世界観
『メア・オブ・イーストタウン』のクリエイターの作品と知り、非常に楽しみにしていた作品です。
小さな町が抱える閉塞感や鬱屈とした世界観は『メア・オブ・イーストタウン』と共通するものがあり、フィラデルフィア郊外が舞台という点も同じです。
メアが住む町も近くにあるに違いないと思わせる雰囲気もありましたが、『タスク』は『メア・オブ・イーストタウン』とは異なる独自の物語でした。
ふたりの主人公について
見終わったばかりのいま、喪失の痛みと苦しみを抱えるふたりの主人公、トムとロビーに思いを馳せています。
軸となるストーリーは、ロビーが起こしたバイカーギャングを狙った強盗事件がもたらす悲劇と、トムのチームによる捜査ですが、作品のテーマは「愛する人を亡くした者が抱える計り知れない苦しみ」だったように思います。


トムの考察
より複雑だったのは、妻を亡くしたトムです。
哲学を学び司祭だったトムは、自問の日々を送っているように見えました。
なぜ妻は死んだのか、死ななければならなかったのか
他人の子を育てられるという自惚れがあったのではないか
自分は善人だと示したかっただけではないのか
自分は心を病んだ息子を愛していたのだろうか
妻を助ける道はなかったのか・・・
トムの心を想像すると、果てしない「問い」が浮かんできます。
その問いに答えがないことも、信じる神が応えてくれないことも、トムは知っているのだと思います。
そんなトムが抱える感情のなかで、最も大きなものは「罪悪感」だったように感じました。
そう感じた理由は、隠すように酒を飲むことではなく、娘エミリーに対する態度からです。
養女といえど、母を亡くした悲しみはエミリーも感じているはずで、ましてや死んだ理由が実の兄というのは、ティーンエージャーのエミリーの心を深く傷つけているはずです。
辛い立場にいるエミリーを支えることもできず、かといって悲しみを共有することもできず。罪悪感に苛まれるトムはぐちゃぐちゃになった心の中で、娘に、神に、すべてのことに、懺悔しているように感じました。


ロビーの考察
ロビーが抱える感情は「怒り」でした。
兄を亡くした悲しみも寂しさも、猛烈な「怒り」に飲み込まれてしまっていた印象です。
そんなロビーが進む道が、復讐しかなかったのが悲しい。
復讐に取り憑かれたロビーが目を覚ましたのは、トムを人質にとった時だったように思います。追い詰められたロビーは、あの時ようやく客観的に自分の現状を認識し、図らずも復讐に巻き込んでしまった姪のメイブや子供たちのことを考えたのだと思うのです。
しかし、時すでに遅し。崖っぷちに追い詰められたロビーが思いついた最善の道は、命を捨てるという自己犠牲で家族を守ることでした。
交差するふたりの絆
家族(姪のメイブと子供たち)を守る役目をトムに託したロビーと、ロビーの望んだように計らったトム。
ふたりの間になんらかの絆が生まれた理由は、互いの中にある「善」を見たからかもしれません。
ロビーが死を覚悟した時、そばにトムしかいなかったのも事実ですが、やはりトムの善なる部分を見たからこそ頼めたことだと思うのです。
トムのほうも人質になった時点で死を覚悟していたはずです。それでもロビーの中に善なる部分を見たからこそ、ロビーがバイカーギャングから奪った金をメイブの手元に残したように思うのです。
トム・ペルフリーの迫力
内容もさることながら、主演のふたりの演技も素晴らしかったです。
特にロビー役、トム・ペルフリーの演技は絶品!
兄を殺され復讐に走ったロビーという直情的な人間の生き様を見事に演じていました。魂を込めた演技とは、まさにこのこと。その魂の熱量がひしひしと伝わってくる迫力はすさまじかったです。
まとめ
ラストは明るい兆しを感じさせて終わりました。
妻の死や家族と向き合えずにいたトムが息子のためにした意見陳述を通して、トムの家族に起きた悲劇が明かされました。
トムと家族の道のりはまだまだ険しいものがありますが、穏やかな日常は取り戻せたようです。
遠くない未来、釈放された息子を迎えるトムの心が、嵐に巻き込まれることなく平穏でありますように。そして、ロビーを亡くした姪メイブと子供たちがお金では買えない愛と幸せをつかみますように。



お読みいただきありがとうございました

