海外ドラマ『クラウデッド・ルーム』全話まとめて感想|トム・ホランド主演 銃乱射事件の真実【ネタバレ有り】

The Crowded Room/出典:rottentomatoes

原題:The Crowded Room /製作年:2023/話数:10話(全1シーズン)/製作国:アメリカ/言語:英語

はじめに

この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

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目次

『クラウデッド・ルーム』全10話

このドラマのキーワード

ドラマの要素
  • 多重人格
  • 虐待被害者
  • 心理学者
  • 裁判
背景が悲しい

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました

1979年、ロックフェラーセンターで銃乱射事件を起こした青年が逮捕された。青年は言動に不可解な点が多く、「(現場に)一緒にいた」と主張する女性も見つからない。青年の身元を特定できずにいる警察は心理学者のライアに協力を求め、ちょうど大学の終身在職権獲得のためのテーマ探しをしていたライアは青年と面接する。青年の話から住所を突き止めたライアのおかげで、青年はダニー・サリバンだと判明する。ダニーとの面接を続けるライアは事件の背景を紐解きながら、ダニーが多重人格だと確信してゆく。

主要人物

ダニー・サリバン

(トム・ホランド)
銃乱射事件を起こした青年
継父マーリンによる性的虐待の被害者
多重人格者

ライア・グッドウィン

(アマンダ・サイフリッド)
心理学者
ダニーが多重人格者だと見抜く
ダニーを支える

キャンディ・サリバン

(エミー・ロッサム)
ダニーの母
17歳でダニーを産む
マーリンと再婚

画像出典:IMDb

評価

IMDb:7.7
ロッテントマト:33%

トマトメーターは低いけれど、ポップコーンメーターは92%
私も高評価!

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『クラウデッド・ルーム』全話まとめて感想

ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください

主演のトム・ホランドが長期休養を必要としたほど、精神的に大変だったという作品。

さらに、その休養は「低評価のせいでは?」と噂されたこともあり(配信開始時はすでに休養8ヶ月目で、本人は噂を否定)、内容ではない部分の先入観を抱えたままの視聴開始となりました。

話題になった「低評価」云々については、ロッテントマトの評価が物語ってます。

批評家のトマトメーターが33%に対し、一般視聴者のポップコーンメーターは92%

批評家ウケしなかった理由を考えてみたのですが、ストーリーの組み立てにもうひと工夫して欲しかったのかもしれません。

実際、私自身も全話見終えた今でこそ「見てよかった」と満足していますが、冒頭2話目くらいまでは「もう見るのやめようかな」と本気で考えました。「ここは忍耐!」と自分を鼓舞しながら視聴し続けたわけですが、ようやくストーリーに引き込まれたのは、なんと第6話目から。

心理学者ライアが逮捕されたダニーと面接を重ねながら事件が起きた経緯をたどる流れの中で、核心をぼやかしながらダニーの生い立ちや抱える問題、さらに人間関係を示してゆく展開が非常にもどかしいのです。ホント、忍耐が必要な前半部分でした。

全てを見終えた今だからこそ理解できますが、ダニーという人間を知るためには彼の視点で描くことが不可欠だったんですよね。

まどろっこしくも丁寧な描写があったからこそ、ダニーが自分の別人格たちをどのように認識していたのか、彼らの役割がどのようなものであったのか、が明確になるのですが、それを知らずに見続けるのは苦行のようでした。

その前半を経て、ストーリーが動き出す第6話からはぐんぐんとダニーの物語に引き込まれてゆきました。

ライアの視点に置き換わることで現実(事実)にフォーカスされ、これまで語られたダニーの世界が一変するのです。漠然とした違和感は解消され、ダニーの心の傷に迫ります。後半部分は裁判の展開も含め、1話ごとの内容が重かったです。

ダニーが多重人格になった原因は、幼少期に継続して性的虐待を受けたからでした。

虐待していたのは継父マーリン。

ダニーの心に何が起きたのか、なぜ別人格が生まれたのか、なぜ被害者は繰り返し被害者になってしまうのか、加害者はいかにして獲物を見つけるのか、・・・といった専門的な内容は、心理学者であるライアのセリフによって簡潔に説明され、理解を促してくれました。

この作品の大きな見どころ(特徴)のひとつは、前半は各別人格をそれぞれの俳優が演じ、後半ではダニー役のトム・ホランドがその全てを演じ分けるという演出です。(ダニーの頭の中を見せるシーンは前半部分同様に各俳優が演じています)

ダニーが周囲の人々にどう見えているのかを見て、視聴者の私は思わず唸ってしまいました。

トム・ホランド、すごいわー。って。

姿はダニーですが、これまでの別人格たちの残像や気配を感じるのです。まるでダニーから切り離すことのできない影のように。そんなふうに感じたのは、前半部分で別人格の人となりをしっかり描いた効果なのかもしれません。

さて、このドラマのもうひとりの主人公は心理学者のライアですが、ダニーの母キャンディ役のエミー・ロッサムについて書いておきたいです。

キャンディは作品の中で目立つキャラではないけれど、ダニーにとって最も重要な存在であることは間違いありません。

私は、キャンディも継父マーリン(ダニーを性的虐待していた)と同罪だと思ってるのですが、見て見ぬふりをした彼女が抱える孤独への恐れや自己愛、息子ダニーに対する言葉にできない(すれば虐待の事実を知っていたと認めたことになる)懺悔の念。さらに、ダニーの幼少期から裁判後までの長い年月の中で、心が疲弊し、麻痺し、蝕まれてゆくキャンディの姿を見せてくれたエミー・ロッサムの演技は圧巻でした。

物語は、人格統合を経て本来の穏やかさを取り戻したダニーと、彼を支えたライアが再会したところで幕を閉じます。虐待の加害者であるマーリンを罰するところも見たかったというのが本音ですが、この物語は赦しや希望を示して終わりたかったのかもしれません。

最後に、このドラマは、連続レイプ犯として逮捕されたのちに解離性同一性障害が認められ無罪となった、ビリー・ミリガンへのインタビューをまとめた、ダニエル・キース著『24人のビリー・ミリガン』に着想を得ているとのことです。

お読みいただきありがとうございました

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