
この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
『エセックスの蛇』全6話まとめて感想
このドラマのキーワード
- 1800年代イギリス
- 信仰と科学
- 迷信
- 愛と友情
- 医学の発展

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました
1800年代のロンドン。裕福なシーボーンは評判の医師ルーク・ギャレットの進歩的な治療を拒み、病死した。
結婚当初から虐待を繰り返していた夫シーボーンが亡くなったことで、自由の身になったコーラは新聞を賑わすエセックスで目撃された大蛇に注目し、大蛇について持論を展開するようになる。
科学的な探究心に目覚めたコーラは、メイドで友人のマーサ、そして息子と共にエセックスへの移住を決め、知人に紹介された牧師館を訪れる。牧師ウィルの妻ステラはコーラを歓迎するが、ウィルとコーラは相反する信念をぶつけあう。口論を繰り返すウィルとコーラは、やがて惹かれ合うようになってゆく。
主要人物



コーラとウィルの背景は?


コーラ・シーボーン
(クレア・デインズ)
裕福な未亡人
夫に虐待されていた事実を知るのは友人マーサだけ
首筋にある虐待の痕を隠す
大蛇についての持論は科学的に証明できると考える
息子と友人マーサを連れてエセックスへ移住する
ウィル・ランサム
(トム・ヒドルストン)
エセックスの小さな村の牧師
妻と子供二人と暮らしている
大蛇の迷信に惑う信者たちへの対応に苦慮する


画像出典:IMDb
評価
IMDb:6.3
ロッテントマト
平均トマトメーター:76%
平均ポップコーンメーター:70%



内容は難しかったけれど
演技や世界観に引き込まれました
全話まとめて感想



ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください
軽い気持ちで見られない人間ドラマ
インパクト強めのタイトルに引き付けられ、全6話で完結するということもあり、軽い気持ちで見始めたのですが、軽い気持ちで視聴なんてできない作品でした。
このドラマのメインテーマは『1800年代を舞台にした未亡人と牧師の禁断の恋の物語』かもしれません。(もしくは”幻の大蛇”かも)でも、私が魅力に感じた点は、主要キャラが織りなす濃厚な人間ドラマ。
幾筋もの物語に、時代に沿った様々な問題(医学の進歩、社会主義、富と貧困、信仰と科学などなど)を盛り込みながら、コーラというひとりの女性の人生観を描く、まるで文学作品のようなドラマでした。
天才医師ルークを演じたフランク・ディレインの魅力
実は、私がこのドラマで見たかった俳優さんは、主演のクレア・デインズやトム・ヒドルストンではなく、医師ルーク役のフランク・ディレインです。
『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』のニック役でブレイクした感があるディレイン氏ですが、私のお気に入りは『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で演じたホグワーツ時代のトム・リドル(後のヴォルデモート)役です。
『ハリー・ポッター』の出演シーンはわずかだったけど、インパクトは絶大。後のヴォルデモートを彷彿とさせる演技力は、何度見ても「すごい!」の一言につきます。(←年に一度は見てる気がする!)
興奮する私の期待を裏切ることなく、天才医師ルークの内面に迫る演技は圧巻でした。一癖も二癖もあるルークは、彼にピッタリ。ルークの物語はいわばサイドストーリーで、傲慢さは鼻につくのですが、コーラ&ウィルに見劣りしない存在感はあっぱれです。
愛と苦悩、そしてステラの深い闇
メインであろうコーラとウィルのストーリーについても触れておきたいと思います。
ふたりの愛については疑問も違和感もなく、愛する気持ちを止められない苦悩も痛いほど伝わってきました。
ふたりの関係だけを見ていると、このドラマで描きたかったことは「許されない想いをどう昇華させるのか」ということのようにも思えます。


そんなふたりの関係の中で、見終わった後も尾を引くようにあれこれ考えているのが、病で亡くなったウィルの妻ステラのこと。
物語中盤のハイライト。コーラの誕生パーティーの席で、ステラが夫ウィルにコーラと踊るよう求めるシーンは、病に冒されたステラが夫をコーラに託しているともとれる一方で、ウィルとコーラの秘めた感情を暗に暴露したのも事実。
謎めいたステラの行動の答えは、最終話に用意されていたように思います。
余命わずかなステラが小舟で自殺しようとした件は、穏やかそうに見えたステラの心に渦巻く闇が見えるようでした。
自分の子どもたちは遠ざけ、ロンドンにいるコーラ親子を呼びつけたステラの真意は、夫の心を奪ったコーラに自分ができる最大限の復讐をするためだったように思えてなりません。
悲しみをまとった美しいシーンでしたが、ステラがコーラの息子を自殺ほう助に利用したのは事実ですから。
ステラの自殺は未遂に終わったわけですが、あのままステラが死んでいたらコーラ親子の心に一生消えないトラウマを植え付けてたはずです。息子の心が傷つけば、自ずと母であるコーラの心も傷つくはずですから。
まとめと余談
いくつかの疑問も残りましたが(大蛇にさらわれたと噂されていた、行方不明だった少女がどこにいたのかなど)、それなりに明るい兆しを見せて終わり、まずまず納得のいく結末でした。
コーラとウィルは再会したし、暴漢に襲われ医師の道を断たれたルークは後進を指導することになったし。マーサやスペンサーといった周辺の人々も大団円といえるラストでした。


余談にはなりますが、ピックアップしたルーク役フランク・ディレインと、ステラ役クレマンス・ポエジーはほそーい糸でつながってました。フランク・ディレイン同様に、クレマンス・ポエジーも『ハリー・ポッター』出演者(炎のゴブレットのフラー役)で、主演ドラマ『The Tunnel/トンネル』の共演者はフランク・ディレインの実父スティーヴン・ディレインです。
そんなこともあり、クレマンス・ポエジーとフランク・ディレインの会話を妄想しています。
ク「以前、お父様と共演したわー」
フ「へえ、そうなんですね」
ク「おでこのあたり、そっくりね」
フ「そこー?」
・・・失礼しましたー。
おあとがよろしいようで!



お読みいただきありがとうございました

