
この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
『フューリアス 奪う女と追う女』シーズン1:概要
キーワード
- FBIと警察
- 性的虐待と人身売買
- 不条理な組織
- 壮絶なトラウマ
- 孤独と秘密

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました
1987年の映画『ブラック・ウィドー』にインスパイアされた犯罪サスペンス。
アリス・ブラック(エミー・ロッサム)が警察を辞めた理由は、元恋人で同僚刑事マーシャルによるDVを告発したためだった。勇気ある告発をしたアリスを信じたのは友人で同期のダニーだけで、全員マーシャル側についたのだ。
FBIへ転職したアリスは性犯罪特捜班を希望したが、配属先は電話相談係。事件捜査とはかけ離れた単調な仕事に甘んじるしかない中、市警のダニーから捜査協力を依頼される。その現場を見たアリスは、富豪の男性をフェンタニルの過剰摂取を装って殺す連続殺人の可能性に気づくのだった。
評価



データは記事執筆時のものです
- IMDb:7.9/10
- ロッテントマト
トマトメーター(批評家による評価):98%
ポップコーンメーター(一般視聴者による評価):88% - メタクリティック(メタスコア):81/100



軒並み高評価!
私も満足!
凄まじい演技に引き込まれました
『フューリアス 奪う女と追う女』シーズン1:感想



ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください
唐突ですが、私は犯罪捜査ドラマが好きです。
ディック・ウルフ系の各捜査機関もの。潜入捜査もの。法執行機関に属さず民間人(探偵、賞金稼ぎ……などなど)の活躍を描くもの。
好き嫌いなしに、「観てみよう!」とチョイスしているジャンルです。
そんな流れで、「FBI捜査官が連続殺人犯に挑む」という王道っぽい内容につられて視聴したのが、この『フューリアス』。……なんですが、想像しなかった世界観に唖然とさせられました。
唖然とした理由。それは、このドラマでは「善=法執行機関」が通用しないのです。
そんな、魑魅魍魎とした世界を見せてくれたこのドラマについて、私なりに感じたことを綴ります。
概念を裏切る世界観
考えたこともなかったけれど、私には「犯罪捜査ドラマ」に対する、ある思い込みがあったようです。
勧善懲悪な世界観。刑事や捜査官の信念。執念の捜査。さらには、被害者や遺族への思いやりや献身。そういったものが描かれるはず!……と思い込んで、勝手に定義してたんですよね。
この『フューリアス』は、正義の側であるはずのFBIや警察を、あえて正義とは真逆の組織として描いていました。
主人公アリスが見切りをつけた警察は、DVを告発した彼女を排除し、加害者である元恋人の刑事マーシャルを昇進させました。さらに、彼女が転職したFBIも、弱者よりも権力者に従う組織として描かれています。
正義の人かと思ったFBI性犯罪特捜班のリーダー、ノラでさえ、組織内の卑劣さの中でアルコール依存症になっている状況。
捜査側に期待すればするほど裏切られる展開にゲンナリする一方で、「復讐の天使」こと殺人犯キャサリンの凄まじい演技に引き込まれ、「善悪」の指針が迷子になったのも事実です。
すごい視点の物語を考えたものだと思ったりもしましたが、もしかして、私が好んで見ている既存の犯罪捜査ドラマこそが「作られた世界」であって、このドラマが見せている歪んだ法執行機関こそが「リアル」なのかもしれない。そう思うと、何とも言えない不快感に覆われた気持ちになってしまいます。
アリスの傷跡


まるで治りきれない傷跡から膿が滲みでてくるような、じわじわとした演出で明かされたアリスの過去は壮絶の一言に尽きます。
・14歳で「世紀の大恋愛」の果てに妊娠し、家を追い出される
・子供は流産?もしくは死産?
・グループホームで過ごした時期がある
・人身売買組織に囚われた時期がある
辛すぎる……(¯―¯٥)
14歳で家を追い出されたとき、彼女を支えてくれた善意の人はいたのでしょうか。
セリフからの想像ですが、彼女を妊娠させた恋人はマーシャルで、彼の母親が家を追い出されたアリスを一時的に保護したのかもしれません。だからこそ、「母に会って欲しい」と言うマーシャルを拒めなかった。そう考えると、アリスの弱い部分を善人面で利用するマーシャル母子が憎らしくなります。
息子マーシャルを溺愛しているあの母が、純粋な気持ちでアリスを保護したとは思えないので、体よく追い払ったのだと思います。そして、彼女は人身売買組織に捕まった……。
そういった過去を背負ったアリスが発する自暴自棄な雰囲気。エミー・ロッサムの抑えた演技が、アリスの孤独さを浮き彫りにしていました。痛々しいほどに。
多くの人が経験するであろう思春期の恋愛(初恋かな?)が人生を一変させたアリス。親に捨てられ壮絶な経験をした彼女にとって、信じられる相手がいるとすればダニーでした。
そんなかけがえのない存在であるダニーを愛しながらも、「友人」であり続けようとした理由。それは、ダニーが抱えていた事情だけでなく、自分自身に対する嫌悪からだと思えてなりません。
自分でさえ愛せない「私という人間」に、日々、立ち向かってるようだったアリスのダニーへの思いが悲しすぎました。
怒りから生まれた天使たち
『フューリアス』全編を通して感じたことがあります。それは、虐げられた女性たちの「怒り」を描く作品だったということ。
たぶんノラのセリフだったと思うのですが、連続殺人犯キャサリンを「怒りから生まれた復讐の天使」と言い表してました。


ノラは、間違いなく腐敗したFBIへの「怒り」を抱えています。性犯罪者である富豪ジェイを守る上司が放った「たかが少女じゃないか」という被害者を軽んじる発言が、組織の腐敗ぶりを証明していました。
金と権力に寄り添う組織だと知りつつ、そこに身を置き続けたノラ。アルコール依存症になっても、しがみついた組織。それがFBIなんですよね。彼女が長年溜め込んだ「怒り」を発露するとすれば、それは痛快な方法で上司を蹴落とす下剋上あってほしいです。
一方、アリスの「怒り」は予測不能です。
私としては、アリスには、DV男マーシャルをハメたように頭脳戦で復讐してほしいです。キャサリンに共感したかもしれないけれど、連続殺人犯になってほしくありません。
汚れた世界の正義ダニー


汗がねっとりとねばりつくような不快感マックスの世界観の中で、唯一の救いは刑事ダニーでした。
ダニーの正義は、既存の犯罪捜査ドラマで見る刑事たちと同じ。被害者側に立ち、犯罪者を逮捕する。ごく普通の倫理観です。
DVを告発したアリスを信じ、彼女を支えたことで、警察仲間から干されてしまったダニー。離婚や子どもの問題を抱えながらも、彼の誠実さにブレはありませんでした。
そんなダニーだからこそ、富豪ジェイの性犯罪を裏付ける証拠のUSBを託されたんだと思います。すさんだ世界観の中で、彼の人間性が重要証拠入手につながるという流れには、感動してしまいました。
腐敗と裏切りと蔑みに満ちた組織に染まらなかったダニーの強さ。それは、アリスにとっても、視聴者である私にとっても、まだ「正義」を信じることができると教えてくれました。
事件が終わったあと、想いを告げあったアリスとダニーがふたりきりで休暇を過ごすシーン。あの静かな優しさに満ちた雰囲気に救われた気がします。ダニーが警察を辞めたことは残念ですが、二人がちゃんと前へ進んでくれたことが本当に嬉しかったです。
まとめ
イントロダクションの項目に書いたように、このドラマは、1987年の映画『ブラック・ウィドー』にインスパイアされているとのこと。
でも、私の脳裏に浮かんだのは、世界を揺るがしたエプスタイン事件でした。あの事件を彷彿とさせる内容だからこそ感じた嫌悪や虚無だったのかもしれません。
そんな陰鬱な気持ちにさせられたこのドラマを最後まで見届けることができたのは、ひとえにアリスとキャサリンの凄まじさに引き込まれたから。
アリス役のエミー・ロッサム。キャサリン役ローラ・ペティクルー。
ふたりの演技、素晴らしかったです。
さて、『フューリアス』は、すでにシーズン2へ更新されています。ということで、私の想像(妄想?)も広がります。
自身の少女時代の虐待映像を所持した性犯罪者リストを手に入れたアリス。一線を超えてしまった彼女もキャサリンのように「復讐の天使」になるのでしょうか。私としては、アリスには「正義の天使」になってもらいたい。性犯罪者たちを逮捕という正義で罰してほしいです。
シーズン2の情報はいまのところありませんが、警察を辞めてしまったダニーの続投を強く希望します!アリスの傍にいるダニーを見たい。そんなささやかな願いをしつつ、私の感想を終わります。



お読みいただきありがとうございました

