海外ドラマ『リーシーの物語』全8話まとめて感想|スティーブン・キングが描く異世界を知る作家の物語【ネタバレ有り】

Lisey’s Story/出典:rottentomatoes

原題: Lisey’s Story/製作年:2021/話数:8話(全1シーズン)/製作国:アメリカ/言語:英語

はじめに

この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

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目次

『リーシーの物語』全8話

このドラマのキーワード

ドラマの要素
  • 異世界
  • 作家
  • 狂信的ファン
  • 姉妹
  • スティーブン・キング
これがキングの世界観なのね

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました

ピューリッツァー賞を受賞したカルト的人気作家のスコット・ランドンが亡くなって2年が過ぎた。スコットの妻リーシーは夫との思い出に浸り、遺品整理もできずにいる。そんなある日、リーシーは心を病む姉アマンダから「スコットがブール狩りを残した」と教えられる。ブール狩りはスコットが幼い頃に兄としていた、ヒントを探して褒美をもらう宝探しゲームのことだ。ブール狩りを始めたリーシーは、スコットに導かれるように姉を病院へ入院させ、スコットが明かした現実とは思えない秘密を思い出す。それは、リーシー自身が封印した記憶だった。さらに、スコットの未発表の原稿を手に入れようとするダッシュミール教授が狂信的なスコットファンのドゥーリーを雇ったことで、リーシーの日常は不穏なものへと一変する。

主要人物

スコット・ランドン

(クライヴ・オーウェン)
2年前に他界したベストセラー作家
ランドン家にまつわる呪われた血を信じる父に育てられ、悲惨な子供時代を送る
子供の頃に兄を亡くす
水(プール)を通じ異世界へ行くことができる

リーシー

(ジュリアン・ムーア)
作家スコット・ランドンの妻
狂信的なスコットファンに憎まれる
スコット同様に異世界へ行ける
姉妹の絆を大切にしている

アマンダ

(ジョーン・アレン)
リーシーの姉
精神を病み自傷行為をする
以前、異世界に囚われ際、スコットに助けられる
再び異世界に囚われる

ダーラ

(ジェニファー・ジェイソン・リー)
リーシーの妹
現実主義だが姉たちを支える

ジム・ドゥーリー

(デイン・デハーン)
スコットの狂信的なファン
ダッシュミールに雇われる
リーシーを脅かす

画像出典:IMDb

評価

IMDb:5.9
ロッテントマト:53%

各サイトの評価はやや低め
私の満足度は平均ちょい上かな?

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『リーシーの物語』全話まとめて感想

ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください

数年に一度くらいの割合で湧き上がる「スティーブン・キングのドラマを見たいな」という思い。

その思いに突き動かされて見てみた『リーシーの物語』は、複雑で難解な世界観が特徴のドラマでした。

原作者であるスティーブン・キング自ら脚本を執筆したことを思えば、このドラマへの思い入れの強さは言わずもがな。作者が思い描いた世界観を忠実に表現したのだろうと納得しつつも、全8話に詰め込まれたテーマの多さに、正直なところ消化が大変でした。

描かれているテーマをあげてみると

  • リーシーとスコットの関係性について
  • 姉アマンダが抱える心の病と異世界との繋がりについて
  • スコットの生い立ちについて
  • 作品の根幹である異世界について
  • 狂信的ファンのドゥーリーについて

これらのテーマそれぞれに物語があり、その物語はからみあいながら展開され、さらに描かれる場面も現在と過去、現実と異世界と目まぐるしく移り変わる演出です。これは、私の理解力や想像力が追いつかないほどの情報量だったのかもしれません。

もうひとつハードルを上げてくれたのは、この作品に出てくる独特なキーワードです。

  • 宝探しゲームは「ブール狩り」
  • 沼にも湖にも見える場所は「プール」
  • 異世界は「ブーヤ・ムーン」
  • 亡者を喰らう存在は「ロストボーイ」

これらのキーワードは原作を読んでいるファンにとってはワクワクするポイントだったかもしれませんが、読んでない私はその意味を理解するのに苦労しました。


難解な点ばかりあげてしまいましたが、全話を見た後の満足度は高めです。

正直なところ、最終話を見終わった直後の満足度は平均以下。

それが平均以上に変わったのは、これはスコットの愛の物語だったんだなと思い至ったからです。

スコットが妻リーシーに残した作品(手紙といったほうがよいかも)のタイトルは『リーシーの物語』でしたが、その内容はスコットの物語でした。不遇な子供時代を過ごし、誰にも理解してもらえない秘密を抱え、孤独だったスコットが出会ったリーシーへの語り尽くせないほどの愛を綴った物語。

キング氏がテーマにしたのは、ホラーの世界にも存在する純粋な愛。そう思うのです。

かなり私的な解釈ではありますが、この作品を「愛の物語」という視点で見てみると、不可解で難解だった部分が不思議と削り落とされ、シンプルで純粋なものが心に残りました。


さて、このドラマの見どころはリーシーが異世界に囚われた姉を救出しながら、狂信的なスコットファンのドゥーリーと対決するというもの。

全編通していろんな表情を見せてくれたリーシーはもちろんのこと、圧巻だったのは姉アマンダと敵役ドゥーリーでした。

特にアマンダ!すごかったです。

心を病む不安定さや、異世界に囚われて「プール」から目が離せなくなった様子、現実世界に戻りたいという切なる叫び。アマンダなくしてこの世界観は成り立たなかったんじゃなかろうかと思うほどでした。

そして、恐怖に陥れてくれたドゥーリーの存在感も圧倒的でした。鬼気迫る異様な目つきには心底ゾッとさせられました。こんなに不愉快な気持ちにしてくれたドゥーリーには嫌悪しかないですが、彼の存在があればこそ立ち向かうリーシーの覚悟や決意が際立ち、また異世界の存在意義も明確になったと感じます。

最後にもうひとつ、素晴らしいなと感じた点は作品に登場するアイテムです。リーシーの家にある灯台の模型や銀のスコップ。さらにオープニングのマリオネットに至るまで、小物のひとつひとつに込められた深い意味を感じさせられました。

夫との思い出を心にしまったリーシーが前へ進み始め、アマンダもダーラもそれぞれ日常に戻ることを祈りつつ、私の感想を終わります。

お読みいただきありがとうございました

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