海外ドラマ『テスタメント/誓願』シーズン1全話まとめて感想|偽りの幸福に負けない!少女たちの静かなる嵐【ネタバレ有り】

The Testaments/出典:rottentomatoes

原題:The Testaments /製作年:2026(継続中)/話数:10話(シーズン1)/製作国:アメリカ/言語:英語/主演:チェイス・インフィニティ、ルーシー・ハルイデイ

はじめに

この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

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目次

『テスタメント/誓願』シーズン1:概要

キーワード

ドラマの要素
  • ギレアド支配層の暮らし
  • 花嫁学校
  • 潜入スパイ
  • 友情と絆
  • リディアおば
ギレアドの恐怖、ふたたび!

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の結末から4年。

ボストン陥落後、失脚したリディアは復権を果たし、「リディアおば学院」を設立した。

院内にリディアの銅像が立つ「リディアおば学院」の生徒は、司令官の妻になる少女たち。

生徒はギレアドらしく洋服の色で分けられている。
幼い頃はピンク
ある年齢になるとプラム
初潮を迎えるとグリーン

そして「白」を着るのは、外国から来た「パール」と呼ばれる少女たちだった。

出生率を上げることが最重要政策であるギレアドは、同世代の女性たちを海外へ派遣し、妻候補を呼び込んでいるのだ。「パール」はギレアドの理念や教義に賛同した者とされているが、実際のところ、行き場のない少女たちだ。

その学院に通うアグネス・マッケンジーは、ギレアドが侍女ジューンから奪った娘ハンナだった。実母の記憶のないアグネスの悩みといえば、養父であるマッケンジー司令官が再婚した妻ポーラのこと。亡くなった養母を慕うアグネスと気性の激しいポーラの間には、埋められない溝が存在しているのだ。

ある日、リディアおばに呼ばれたアグネスは、「パール」の少女デイジーの世話係を命じられる。それがサインだったかのように、アグネスの平穏な日常は一変していく。デイジーはギレアドに潜入したメーデーのスパイだったのだ。

評価

データは記事執筆時のものです

IMDb:8.3

ロッテントマト
トマトメーター(批評家による評価):88%
ポップコーンメーター(一般視聴者による評価):79%

納得の高評価ですね
少女たちの視点で描くという発想が見事!

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『テスタメント/誓願』シーズン1:感想

ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください

少女の視点で描くギレアド

これが「怖いもの見たさ」というものでしょうか。

自由の国アメリカが恐怖の全体主義国家へと変貌した『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。その続編にあたる『テスタメント/誓願』シーズン1をイッキ見しちゃいました。

世界が瞬く間に変化していく昨今。現実社会と重なる部分もあり、もはや「空想の物語」として楽しめない重さもあるのですが、やっぱり気になる作品です。

実は、『ハンドメイズ・テイル』ファイナルシーズンを観た(感想はこちら)直後にこちらを視聴したのですが、トーンの変化に驚かされました。

ギレアドが恐怖国家であることに変わりはありません。しかし、特権階級の少女(プラム)たちの目を通してみるギレアドは、驚くほどまぶしく輝いているのです。前作の息苦しかったトーンから、澄み渡る青空のような明るさへ。

そして、描かれるテーマは「政府公認のレイプ」から「政府公認の児童婚」へ。このビジュアルの軽快さこそが、ギレアドが「偽りの幸福」を演出していることの証に思えました。

そんな歪んだ世界で育った少女たちは、ギレアドの洗脳を受け、純粋培養されています。でも、どれだけ国家が支配しようとも、彼女たちの内側では「人間の本質(愛、正義、友情)」がしっかりと育まれていました。

ギレアドでも支配しきれない「少女の心」にかすかな希望を感じ、グッと心を掴まれました。そんな彼女たちが、どんなふうに多感な思春期を過ごしていくのか。私なりに想像を巡らせながら、感想を綴りたいと思います。

仮面の優等生アグネス

The Testaments/出典:IMDb

『テスタメント/誓願』の主人公のひとり、アグネス。

言わずもがなではありますが、彼女は『ハンドメイズ・テイル』の主人公・ジューンの娘ハンナです。

前作でも描かれたように、ハンナはマッケンジー司令官夫妻の養女「アグネス」として育てられていました。前作の中で、何度か実母ジューンと対面したものの、現在の彼女にその記憶はありません。今の彼女にとっての厄介事は、マッケンジー司令官の再婚相手である新しい義母ポーラとの家庭内冷戦です。

前作を振り返ると、アグネスを引き取ったマッケンジー夫妻は、我が子として大切に育てていたんですよね。亡くなった養母(マッケンジー司令官の前妻)が「(アグネスを)産んでくれたことに感謝している」とジューンに伝えたシーンを覚えています。

愛を注がれて育ったからこそ、「出自がよろしくない」という嫌味も気にせず、司令官の令嬢らしく優雅に暮らせていたんですよね。

そんなふうにギレアドの「恵まれた娘」として伸び伸び育ったアグネスは、このシーズン1の中で激動の思春期を迎えました。

プラム少女たちにとって最大のイベント「初潮」をきっかけに、結婚へのカウントダウンが始まる流れは異様でした。

彼女たちは囚われの侍女ではないけれど、「子供を生む道具」という位置づけなのは同じなんですよね。違いは身分が保証されていること。

初恋もままならず、父親より年上と思われる司令官との婚約。さらに、親友ベッカの父親の陰湿な悪行。そして、父の正体を知ったベッカが起こした惨劇。

ギレアドのルールを熟知したうえで、アグネスなりに策略を練り、最善だと思うことを実行する姿は、まさに「ジューン譲りのDNA」を感じさせられました。

ベッカを守るため初恋を諦め、さらにギレアドではあってはならない「婚約破棄」の代償を背負ったアグネス。

満身創痍で「学院」へ戻った彼女に突きつけられたのは、実母が「あのテロリストのジューン」という衝撃の真実でした。

心の中に超巨大な嵐が吹き荒れているであろうアグネスが、この先どう覚醒していくのか、今から期待しかありません。

ドラマ版の大英断!デイジーの設定変更

The Testaments/出典:IMDb

原作小説とドラマ版で大きく違う点は、もうひとりの主人公であるデイジーの設定です。

「え、原作と違うの?」と身構えてしまうポイントですが、結論から言うと、この変更こそがドラマ版の素晴らしい「肝」になっていました。

小説のデイジーはジューンとニックの娘ニコールだったのですが、ドラマではジューンとの血縁関係はなく、ジューンと同じ「闘う魂」を持つ少女……という設定なのです。

この変更は、『ハンドメイズ・テイル』が終了した時点から4年後を舞台にしたことで、辻褄を合わせるためだったらしいのですが、大正解だったのではないでしょうか。

もちろん、ジューンの娘たちが協力してギレアドに立ち向かうというストーリーも観てみたかったですが、デイジーとアグネスが対等な目線で思春期のリアルな葛藤や痛みを共有し、「戦友」としての深い絆を築いていく様子は本当に見応えがありました。

さて、育ての親も生みの親もギレアドに殺されたデイジーは自らの意思でギレアドに潜入するのですが、どこまでの覚悟があったのかは疑問です。

カナダで育ったデイジーは教科書でギレアドについて学んでいました。でも、生ギレアドは壮絶。いくら勝ち気で正義感が強くても、知識として知るギレアドと、肌で感じる「息の詰まる狂気」は全く別物。まさに「百聞は一見にしかず」!

そんなデイジーが、本物の恐怖に怯えながらも、アグネスたち仲間のために立ち向かっていく姿には「ジューンの魂」が重なります。

クライマックス、ジューンと再会したデイジーはギレアドに残る選択をします。デイジーの情報で、アグネスの居場所を知ったジューン。学院に戻った彼女が、どんなふうにギレアドと戦ってゆくのか、非常に楽しみです。

リディアの思惑

The Testaments/出典:IMDb

みんな大好き(苦笑)リディアおばさん。

今作では、その名を冠した「リディアおば学院」のトップへ君臨!さらに、学院にはリディアの銅像まで建っており、女性として最高権力の座を手にしていました。

そのリディアですが、実は、私、原作小説(『誓願』)で受けた印象と、ドラマでの印象が違う点が気になってたのです。

小説での印象は「ギレアド建国時に受けた屈辱から、密かにギレアドを憎み続けていた」というものだったのですが、それだとドラマで描かれるリディア像と一致しないのです。

そこで、リディアについて改めて想像してみたのですが、「おば」になったきっかけが描かれたことで、リディアは生存本能に従いギレアドを生きてきたんだなと納得しました。

信仰とか信念からでなく、自分が生き延びるためにできることをしてきただけ。その証拠に、前作で「神という絶対的な言い訳」で自分の残虐行為を正当化していた彼女が、今作では「神」を持ち出すことさえ減っているのです。

表情さえも穏やかになったリディアですが、その中身は変わってません。前作ファイナルシーズンで、彼女なりの歪んだ愛情(実質的な虐待)を注いだ「侍女」たちが使い捨てされている事実を知ったことで、より計算高い「ゲームマスター」へと変貌しているようでした。

もし、アグネスと“目(アイズ)”のトップである司令官との結婚が成立していたら、ジューンを牽制できるだけでなく、アグネスを使って機密情報を得ることもできたかも。……なんて、深読みしすぎ?でも、リディアならやりかねませんよね(;´∀`)

リディアがこの先も暗躍するのは、間違いありません。小説とは違う彼女の思惑が楽しみでなりません。

まとめ

ところで、「あれ?」と思ったのですが、『テスタメント』では侍女の姿を見かけませんでした。

ギレアドらしく、処刑された人は吊るされているのに、侍女については劇中のセリフで触れられる程度だったような……。

しかし、侍女の姿が見えなくても、ギレアドの恐ろしいシステムは健在です。前作の「大人の女性への性的虐待」から、今作は初潮を迎えたばかりの子供を年配の司令官に差し出すという、より醜悪な搾取へと恐怖がスライドしています。それを「名誉な幸福」として美化するギレアド。本当に許せません!

だけど、少女たちも黙っていません。

血の宿命を知ったアグネス。
地獄へ自ら戻ったデイジー。
そして、密かに記録するリディア。

この3人の女性たちが巻き起こす「静かなる大嵐」が、どんなふうに内側からギレアドを破壊してゆくのか。もう、期待しかありません!

お読みいただきありがとうございました

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