海外ドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』ファイナル・シーズン全話まとめて感想|過酷なディストピアの果てにジューンが選んだ終着点【ネタバレ有り】

he Handmaid’s Tale/出典:IMDb

原題: The Handmaid’s Tale/製作年:2017-2025/話数:66話(全6シーズン)/製作国:アメリカ/言語:英語/主演:エリザベス・モス

はじめに

この記事は、管理人しかが作品の世界に浸りながら想像力を広げ、思いをめぐらせながら綴ったものです。素人目線の解釈に基づくため、思い込み、勘違い、間違いなどがあること、あらかじめご了承ください。また、感想はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

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目次

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』ファイナル・シーズン:概要

キーワード

ドラマの要素
  • 反撃
  • 信念
  • 欺瞞と贖罪
  • 未来
  • 良心と正義
ジューンの戦い最終章!

イントロダクション

作品の導入部分をまとめてみました

キリスト教原理主義が国民を支配する全体主義国家“ギレアド共和国”になった近未来のアメリカ。ギレアドでは、妊娠可能な女性を“侍女”として司令官の家庭に派遣し、政府公認のレイプで出生率を上げていた。ギレアドに立ち向かうジューンの物語、最終章。

ギレアドから命を狙われるだけでなく、反移民感情が高まるカナダから逃れるため列車に乗ったジューンは、逃亡中のセリーナと再会した。息子を奪うギレアド信奉者の屋敷から逃げたセリーナだったが、信仰心は揺らいでおらず、ギレアドを憎む乗客たちに素性がバレてしまう。

命を狙われるセリーナ親子を列車から逃がしたジューンは、娘ニコール(別名ホリー)とともにアラスカにたどり着く。そこには、死んだとばかり思っていた母ホリーがいた。再会の喜びもつかの間、カナダに残るルークとモイラを案じるジューンは、再びギレアドとの戦いに戻るのだった。

評価

データは全シーズンの総合評価です

IMDb:8.3

ロッテントマト
トマトメーター(批評家による評価):83%
ポップコーンメーター(一般視聴者による評価):57%

意外にも視聴者の評価が低かったかな?
私は納得の結末に満足!

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『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』ファイナル・シーズン:感想

ここからネタバレ全開の感想です
未視聴の方はご了承のうえお読みください

約8年をかけて描かれてきたジューンの物語が、ひとまずの終わりを迎えました。

「ひとまず」と書いたのは、ギレアドとの戦いは続編『テスタメント/誓願』へ続くからです。

続編については後で触れるとして、まずは『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』を見終わった今、感無量です。

原作小説ファンでもある私にとって、納得の締めくくりになったファイナル・シーズン。各キャラたちへの愛と敬意をこめながら、じっくりと感想を綴りたいと思います。

ファイナル・シーズンが描いた「最高のテーマ」

続編『テスタメント/誓願』の制作が決まっている以上、今回のファイナルでギレアドという国家が崩壊しないことは決定事項。

「じゃあ、どんなふうに幕引きするの?」……というのが最大の疑問。

制作陣が選んだファイナル・シーズンのテーマは、ギレアド国についてではなく、長年苦楽を共にしてきた「登場人物たちの人生」そのものでした。

一人ひとりの終着点を丁寧に描いたこの選択、大正解だったと思います!

大局的な政治劇にするよりも、彼らの生き様を見届けるほうが、ずっと私たちの心に刺さるはずです。このテーマのおかげで、思い残すことなくお別れが言える、ファイナルらしい内容になったと思います。

ジューンの未来

まずは、主人公ジューンについて。

ジューンは、夫であるルークと別れることになりました。

ギレアドに破壊された関係を修復するのは、おそらく不可能なことなんだと思います。それぞれが地獄を経験した以上、前と同じ気持ちで向き合えるはずがありません。

でも、別れはしたけれど、ふたりの思いはひとつ!ギレアドに奪われた娘ハンナを取り戻すこと。ただ、そのための手段が違うということでした。

ジューンが選んだ手段は、自分の「言葉」でギレアドを記録すること。

ギレアドになる前のアメリカ時代、ジューンは「編集者」でした。この設定を知った当時、どうして「編集者」なんだろう?と疑問に思ったことを覚えてます。それがラストへの伏線だったとは!これは素晴らしいサプライズでした。

女性から読み書きや「言葉」を奪ったギレアドに対して、言葉を扱うプロだったジューンが、自分の声で体験を「歴史」として記録し始める。

これこそが、彼女にしかできない最大の抵抗であり、最高の復讐のように感じ、激しく感動してしまいました。

さらに、彼女が自分の物語を「記録」することは、原作小説へのオマージュでもあり、これ以上ないジューンという人間の完璧な終着点でした。

ローレンスとニック:真逆の選択

主要キャラの中でも、特に印象的だったのが、同じ「飛行機爆破」という最期を迎えた、ニックとローレンスの対比でした。

ローレンス:贖罪と未来への計算

彼の最後は、想定外の事態で「自爆か、諦めるか」の二者択一を迫られた結果のものでした。

ボストンの司令官たちが乗る飛行機に爆弾を仕掛けるという役目を引き受けたとき、危険な賭けではあるけれど、自分の命を捨てるつもりはなかったはずです。

でも、予定より早く司令官たちが現れてしまった。

あの瞬間、迷わず運命を受け入れたローレンスが何を思ったのか、考えずにはいられません。

自分の理想のせいでギレアドという化け物を生み出したことへの悔恨でしょうか。それとも、ギレアドを憎みつつ死んだ最愛の妻への贖罪だったのでしょうか。

ローレンスの真意は想像するしかありませんが、私は彼の脳裏には「娘になったアンジェラ(パットナム家の侍女だったジャニーンが産んだ娘)の未来」が浮かんだんじゃないかと思うのです。

アンジェラ(別名シャーロット)と暮らした時間は短かったけれど、彼女が進む未来に人間らしい幸せを願ったのではないでしょうか。女性も物語を読み、文字を書くことが認められた未来を。

ローレンスの圧倒的な自己犠牲はジューンたちのボストン奪還へと繋がり、少女たちの未来にかすかではあるけれど希望を残してくれました。

ニック:ギレアドで生きる男の生存本能

ニックのジューンへの愛は本物。

それは真実。でも、振り返ってみると、彼がジューンに協力するのは「あくまで自分にできる範囲」でのことだった……。

セリーナの策略ではありましたが、子供を授かったことでジューンへの愛が深まり、断ち切ることのできない強い絆が生まれたのも事実。でも、その「愛」や「絆」は命を捨てるまでの感情ではなかったんじゃないかな。と、思うのです。

もともと、ニックは市民を監視する「目」でした。そのことからも、ニックが重きを置くものがギレアド内で生き延びることだと分かります。

だからこそ、ニックは上級司令官の娘と結婚したし、ジューンを裏切りもした。それは彼の生存本能のようなものだったのではないでしょうか。

ニックがギレアドを捨てなかった理由は分かりません。彼が選んだギレアド内での生存戦略が、最終的に彼自身を追い詰めてしまったのは皮肉でした。ニックが外の世界へ目を向けなかったことに、悲哀を感じてしまいます。

セリーナは変わったのか?

セリーナの終着点は、「何も持たない難民」でした。

息子への愛だけが自分の存在理由だと気づく姿が描かれていましたが……

うーん。どうなんでしょう。

私には、「セリーナの本質は変わってない」と思えてなりません。

もちろん、「息子さえいればそれでいい」というのは嘘偽りのない彼女の本心だと思います。

でも、いまなお信仰と共にある彼女を「変わった」とするのは、都合がよすぎる解釈だと思うのです。

セリーナがジューンを始めとする虐げられた人の痛みを理解できないのは、恐ろしいほどの盲信的な信仰心が原因ですよね。セリーナにとって、すべて「神のみ心」なんですから。

ジューンは彼女を許したけれど、セリーナは環境によって「聖母」にも「加害者」にもなり得る危うさを秘めています。周囲にチヤホヤされれば、すぐに嬉々として壇上に上がって「神の恵み」を語り出しそう。その危うさがリアルで人間的だからこそ、セリーナは記憶に深く刻まれたキャラなのだと思います。

まとめ

全6シーズンを振り返ってみると、波乱万丈という言葉では足りない、過激で悲痛に満ちた日々を懸命に生きた人々の物語でした。

実感としては10年くらいの時間経過ですが、劇中の出来事は3年くらいの間にあったことなんですよね。

シーズン2の途中で生まれたニコールが、ファイナルで2歳くらいに成長している姿を見て、改めてジューンたちが経験した時間の濃密さにハッとさせられました。

ジューンの物語はここで締めくくられましたが、ギレアドをめぐる物語は続編へ続きます。

続編『テスタメント/誓願』は、ジューンの娘ハンナと少女たちの物語。「妻」になることしか許されない世界で育つ少女たちが、何を考え、どう感じているのか、いまからとても楽しみです。

そして引き続き登場するリディアおばにも大注目です。実は私、原作の小説を読んでるのですが、リディアおばの人物像がドラマと小説では異なる印象なのです。その違和感をどのように埋めてくれるのか……その点については『テスタメント/誓願』を見終わった後、オタク魂全開で語りたいと思っています。

最後になりますが、ひとことだけ言わせてください。

物語の終盤、志半ばで命を落としたアルマやブリアナ、そして過酷な道を歩んだエミリーたちが最高の笑顔でジューンの心(幻想)に帰ってきた、あのシーン。

あれは単なるファンサービスなんかじゃなく、たとえギレアドに肉体を滅ぼされても、彼女たちの「魂の気高さや輝き」までは決して奪えなかったことを示しているようで、涙が止まりませんでした。

ジューンがこれから記していく『侍女の物語』は、あの仲間たち全員が「確かに生きて、抗って、そこに存在していた」という証を歴史に刻むためのもの。

「どんな絶望の中でも、個人の尊厳と言葉を諦めない限り、希望は次の世代へ繋がっていく」

過酷な旅の最後に、そんな力強い希望の賛歌を聴いたような、素晴らしいフィナーレでした。

お読みいただきありがとうございました

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